野球が大好きな出版社・三省堂
こんにちは。辞書係です。
今回紹介する引きがいのある日本語は、
「総立ち」。
『新明解国語辞典』で「総立ち」を引くと、面白いことに気づきます。
ひどく興奮したり、何かに注目したりして、その場にいる全員(と言ってよいほどの人びと)が立ち上がること。〔逆転さよならホームランに観客が総立ちになる〕
出典:『新明解国語辞典』(三省堂)
「総立ち」の例として、逆転さよならホームランを使う『新明解国語辞典』ですが、

辞書係
べつに例えが野球じゃなくても良いのでは?
と、思ったかたもいるかもしれません。
他にも、同じさ行の言葉で「シチュエーション」を引いてみると、
その場面(局面)を構成している全体の状況。(中略)〔野球で〕ランナーがいるかどうかなど、シチュエーションによって投球が大きく変わる
出典:『新明解国語辞典』(三省堂)
と、また(べつに野球じゃなくてもよい)例えに、野球が登場します。
他の辞書で、「総立ち」や「シチュエーション」を引いてみても、
●総立ち …… 全部の人が立ち上がること。〔場内総立ちとなった〕(出典:三省堂国語辞典)
●シチュエーション …… ①境遇。立場や状況。②小説・映画・演劇などで、設定された場面。(出典:旺文社国語辞典)
とあるように、野球の例えは登場しません。

辞書係
もしかすると、作り手に野球好きがいるのかもしれません。
また、「た行」では、『三省堂国語辞典』に野球の例えが多く使われていることを紹介しています。『新明解国語辞典』も『三省堂国語辞典』も同じ「三省堂」が出版しているものですので、「三省堂」そのものが、野球好きだとも言えますね。