入刀はあの場面専用の言葉?
こんにちは。辞書係です。
今回紹介する引きがいのある日本語は、
「入刀」。
入刀は、『新明解国語辞典』には載っておらず、『三省堂国語辞典』と『旺文社国語辞典』に記述があります。
結婚披露宴で、ウエディングケーキにナイフを入れること。
出典:『三省堂国語辞典』(三省堂)
結婚披露宴で、新郎新婦がウエディングケーキにナイフを入れること。
出典:『旺文社国語辞典』(旺文社)
引き比べてみると、ふたつの辞書の意味はほぼ同じものになっています。
『三省堂国語辞典』のほうが、「相合傘」のように性別に関する配慮をしている印象ですが、それよりも気になるのは、「入刀」という言葉が結婚披露宴でのみ使われる言葉だったということではないでしょうか。
同じケーキであっても、家でケーキを切り分けるときには、入刀とは言わず単純に「切り分ける」や「等分する」といった表現を使います。

辞書係
たしかに、あの場面以外で「入刀」という言葉を聞いたことがないな……と辞書を引いてみて気づきました。
同じケーキであっても、家でケーキを切り分けるときには、入刀とは言わず単純に「切り分ける」や「等分する」といった表現を使います。
入刀は、ケーキを切る行為ではなく、結婚披露宴で定番となっている「夫婦初の共同作業」にのみ使うことのできる特殊な日本語であることが分かります。