「なおざり」と「おざなり」の区別って?
こんにちは、辞書係です。
今回紹介する引きがいのある日本語は、
「なおざり」。
漢字にすると、「等閑」と書きます。
「なおざり」を辞書で引くと、
真剣に取り組まないで、ずっとほうっておくようす。
出典:『三省堂国語辞典』(三省堂)
このように、シンプルに解説されています。
さらに用例として、
●安全対策をなおざりにする。
●基礎的な調査がなおざりになる。
とされていますが、ここでふと頭をよぎったのが、「なおざり」と良く似た語感の「おざなり」という言葉です。
例えば、さきほどの用例をすこし変えて、
・おざなりな安全対策。
・基礎的な調査がおざなりだ。
と言い換えたとき、「なおざり」と「おざなり」の間にどのような違いがあるのか……。

辞書係
恥ずかしながら、わたしは辞書を引くまでほとんど同じ意味だと思っていました。
『新明解国語辞典』には〔近年、「おざなり」と同義に用いる向きもあるが、両者は意味・用法の異なる別語〕と明記されていますが、具体的な区別の例などはありません。
でも大丈夫です、『三省堂国語辞典』には、最高に分かりやすい両者の区別が書かれています。
「おざなりな議論」は、形だけのいいかげんな議論の意味。
「議論をなおざりにする」は、議論しないでほうっておく意味。
出典:『三省堂国語辞典』(三省堂)
『三省堂国語辞典』が教えてくれた区別をさきほどの例にあてはめると、
●安全対策をなおざりにする ・・・ 安全対策をしないで、ほったらかしにしておくこと。
●おざなりな安全対策 ・・・ 形だけのいいかげんな安全対策。
以上のように、区別することができました。

辞書係
これで今日から、わたしも「なおざり」と「おざなり」を使いこなせそうです!