【悪魔の証明】は、辞書の例文が面白い
こんにちは。辞書係です。
今回紹介する引きがいのある日本語は、
「悪魔の証明」。
「それがない」ことを示すという、ほとんど不可能な証明。
出典:『三省堂国語辞典』(三省堂)
悪魔という存在が「ある」ことを証明するには、悪魔を1匹でも連れてくれば証明できますが、
悪魔という存在が「ない」ことを証明することは、途方もないことであり、ほとんど不可能である
ことを表現しているのです。
比喩として悪魔をつかっているので、悪魔以外のものでも同じような表現は可能です。
「ツチノコの証明」や「幽霊の証明」でも良いわけですね。
三省堂国語辞典が考えた、悪魔の証明とは
そんな、言ってしまえば例えがたくさんある「悪魔の証明」について、
『三省堂国語辞典』は、本文のなかで以下のように例えています。
例、「ある本に誤植がまったくない」という証明。
出典:『三省堂国語辞典』(三省堂)

辞書係
「ある本」とは、まず間違いなく『三省堂国語辞典』のことでしょう。
なんでもよい例えなのに、あえて自らを取り上げているのは、何かメッセージがあるように思えます。
誤植はとても怖いものです。
SNSや個人同士のチャットでさえ、ひとつの誤りから問題が生じることも多々あります。
ましてや、辞書という重要な本を出版するなら、なおさらです。
『三省堂国語辞典』を作るときも、1,700ページ以上ある辞書のなかに、ひとつでも誤植がないよう努められたはずですが、
それでも、「誤植が全くないとは言い切れないので、間違いがあってもゴメンね。。。」というメッセージでしょうか。

辞書係
三省堂からのお茶目なメッセージが隠されているようで、面白い例えです。