野球が大好きな出版社・三省堂②
こんにちは。辞書係です。
今回紹介する引きがいのある日本語は、
「だぼはぜ」。
この言葉を、『新明解国語辞典』、『三省堂国語辞典』、『旺文社国語辞典』の3つで引き比べてみると、おもしろい違いに気づきます。早速、それぞれの記述を見てみましょう。
川口付近にすむ、小形のハゼ。佃煮などにする。
出典:『新明解国語辞典』
小形のハゼ類でチチブ・ドロメなどの俗称。地方によっては、ゴリ・ドンコなどともいう。
出典:『旺文社国語辞典』
川口付近などにすむ小形のハゼ。せなかは黒っぽく、腹は灰色。形はみにくい。えさにすぐ食いつく。だぼ。〔野球〕ボールだまにすぐ手を出すバッター。〔すぐ引っかかることから言う〕
出典:『三省堂国語辞典』

辞書係
『三省堂国語辞典』だけが、野球用語としての「だぼはぜ」に言及していますね。
さ行では、『新明解国語辞典』で野球の例えが多く使われている例を紹介しましたが、た行では『三省堂国語辞典』にその傾向が見られました。
例えば、「タイミング」を引くと、
①できごとや動作が、別のできごとや動作にあわさる具合。例:「タイミングが合わない」「いいタイミング」「タイミングはアウトだったが、野手が落球」
出典:『三省堂国語辞典』
さらに、「ダイレクト」を引くと、
直接。例:「ダイレクトキャッチ・本塁へダイレクトに返球する・ダイレクトに気持ちが伝わる」
出典:『三省堂国語辞典』
とあるように、ことあるごとに野球で例えています。
『新明解国語辞典』や『旺文社国語辞典』で同じ言葉を引いても、このような野球での例えはありません。

辞書係
『新明解国語辞典』と『三省堂国語辞典』は同じ「三省堂」から出版されていますので、「三省堂」自体が野球の記述を好む傾向があるのかも。もっと他の辞書とも比較してみるのも面白いですよね。