九死よりもヤバいのが十死?
こんにちは。辞書係です。
今回紹介する引きがいのある日本語は、
「十死に一生を得る」。
「十死」とは、以下のような意味です。
絶対に生きられる見こみのないこと。じゅっし。
出典:『三省堂国語辞典』(三省堂)
「九死に一生を得る」は「助かる見こみがなかったのに、やっと助かる」(三省堂国語辞典)
という意味で、日常でもよく使われている表現ですね。
ところが、「十死に一生を得る」という表現も辞書にはのっていますが、
日常生活で見聞きする場面に出会ったことのある人は少ないのではないでしょうか。
九死と十死のわずかな違い
おもしろいのが、「九死」と「十死」には、辞書の語釈に微妙な違いがあることです。
『三省堂国語辞典』の記述
・九死 …… ほとんど死にそうになること。
・十死 …… 絶対に生きられる見こみのないこと。
『新明解国語辞典』の記述
・九死 …… 救いが来るとか情勢が急転換するようなことが無ければ当然死ぬであろうと思われる、絶体絶命の危機。
・十死 …… どうしても生きられる見込みの無いこと。

辞書係
比べてみると、九死よりも十死のほうが絶望的な状況を示しているように思えますね。